えびがわ町の妖怪カフェ 感想 少女は両親に夢を見るのか?

目次

概略

妖怪が見える女の子と寿命がなくなった男性の家族話

料理が美味しいのとヒロインの女の子の親子関係がテーマ

子供は親に疎まれてもそれでも親が好きだったり、自分のせいで両親が喧嘩したりすると敏感に察する、という描写があるのでその辺が精神的にダメージになる人は注意

感想

  • 感情の描写が丁寧なので曇らせ系として期待していた
  • お話としては連載性に重きを置いていて単和ごとのまとまりがよい。一方で全体で見た時の話の重さは希薄である
  • いい人が多い世界観、というよりはヒロインの内面の美しさを反映した結果としての妖怪世界の穏やかさなのだろうか?
  • 信仰心がないと存在できない妖怪と問答無用で死ねなくなったおじさん、お話としてどっちに寄せるのかと思ったらおじさんの寿命の問題はあっさり解決した
  • 夏休みを通して女の子は自分を理解してくれる居場所と親との関係性の回復と両方を得ていてまあ、幸せそうでいいですなあ?という落ち着き方をした。
  • 主人公の意思とは関係なく問題が解決したのでご都合主義感がある。親子の関係構築がうまく行かないというのは割と普遍性のあるテーマであり、子供の持つ特殊性を個性として理解するか異常として認識するか、というのは発達障害が認められるようになった現社会に移し変えることの容易な題材だけに深い、というかややこしい方向に進めなかったんだな、という作者の意思が見てとれる。
  • 霊感があると主張する小学生は私の母校にもいた覚えがあるがそれは承認欲求の表れとして理解するのがもっぱらの見方であるが、それをあえて本当に特殊であり、むしろその特徴を隠したい、親の望むいい子でありたいというこの願いは親を愛し、親の愛情を求める姿として痛々しさを覚える。
  • が、それが全部おじさんと妖怪によって解決してしまうんだなあ。ある種のスパダリなのか?一夏の思い出として綺麗に処理されてしまうのがなんかねえ?消化不良感が残る。綺麗にお話を畳んじゃったねえ、という感じ。
  • 読後感は爽やかでそれなりに感情の起伏を描いてくれるので好きな作品である

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